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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
○第6回 『愛の戦士 レインボーマン』第5話、第52話ほかロケ地 東京都多摩市「旧多摩聖蹟記念館」


『愛の戦士 レインボーマン』第5話、第52話ほかロケ地 東京都多摩市「旧多摩聖蹟記念館」

特派員:奥虹
取材日:2008年2月某日

 ミスターK率いる秘密結社・死ね死ね団が目論む“日本人皆殺し作戦”。その最初の策動は、特殊な薬物で日本人を狂人化させ、無差別殺人を起こさせ自滅させるという恐るべき「キャッツアイ作戦」であった。香港マカオで開催された死ね死ね団の最高機密会議と前後して、ミスターKは“黄色い豚”たる日本人抹殺の前祝いとして、プロモーター・カリモスに日本人レスラーを殺人試合に駆り出すよう命じた。運命の悪戯か必然か、殺人試合のスケープゴートとして選ばれたのは、恋人・淑江の父が経営する幼稚園・どんぐり園の危機を救うためマカオにやってきたヤマトタケシ(レインボーマン)であった。

  今回紹介する「旧多摩聖蹟記念館」は、『仮面ライダー』シリーズをはじめ1970年代の特撮諸作品のロケ地として、あまりに馴染み深い洋館である。「キャッツアイ作戦」の残虐性をリアルに描写した『レインボーマン』第5話「死ね死ね団の陰謀」では、香港マカオにおけるタケシの知己、さくら・ロコ姉弟が拉致された死ね死ね団のアジトとして、また「サイボーグ作戦」編最終エピソードとなる第52話「虹に翔ける愛の戦士」では、悪魔武装部隊・DACに急襲される国際平和会議開催ホテルとして撮影が行われている(ほか第3クールでも、藤山律子氏演じる女性幹部・オルガがオートバイで帰還するアジトとして使用されている)。今回は特に『レインボーマン』第5話、第52話にスポットを当て、両エピソードの撮影で使用された歴史的建築物「旧多摩聖蹟記念館」とその周辺の景色について画像で補足していく。

○東京都多摩市「旧多摩聖蹟記念館」


  旧多摩聖蹟記念館 (多摩市連光寺5-1-1都立桜ヶ丘公園内)は、多摩市指定有形文化財の洋館。1880年代、明治天皇が連光寺に鮎釣りと兎狩りに訪れた縁から、1930年、宮内大臣経験者・田中光顕氏が行幸を記念して記念館を建設した。永年、財団法人多摩聖蹟記念会が管理・運営にあたってきたが、建物の老朽化により取り壊しが検討される。鉄筋コンクリート造り、両袖の付いた円形の大殿堂という、オーストリアのウィーン分離派とドイツのユーゲント・シュティールと呼ばれる建築デザインの影響が見られる昭和初期の稀有な近代建築物として高い評価を受け、保存の要望も強かったため、1986年6月に有形文化財として指定、多摩市が改修後に管理・運営することになった。緑豊かな都立桜ヶ丘公園のほぼ中央に位置するため、四季折々の植物・野鳥が観察できる。

都立桜ヶ丘公園入口 その1

都立桜ヶ丘公園入口。ルート:京王線聖蹟桜ヶ丘駅駅前より12番バス乗場「永山駅」(聖ヶ丘団地経由)行きに乗車、「記念館前」で下車。徒歩約5分。『レインボーマン』撮影当時、砂利道だった公園入口〜記念館の道もアスファルトに替わった。

 
公園を入りすぐ右側をみると、高台から京王八王子の街なみを望むことができる
都立桜ヶ丘公園入口 その2
 
公園内の樹木

公園内の樹木。公園自体が多摩丘陵高台にあるので、傾斜が厳しい。

 

ニュータウンの開発で雑木林が減少した多摩丘陵だが、公園内には『レインボーマン』撮影当時の景色が残っている。『レインボーマン』第5話では、死ね死ね団員たちの放つアーチェリーの矢で胸を負傷したタケシ(演.水谷邦久氏)が、林の茂みに隠れ回復の呪文を唱えるシーン、それを死ね死ね団員たちが追跡するシーンなどが撮影されている。

都立桜ヶ丘公園内 その1
 
記念館中央

記念館中央。内部は「撮影禁止」のため紹介できないが、ドーム型ですこぶる天井が高い(建物自体は高さ約11メートル)。展示物類はこの中央口から搬入されたと思われる。『レインボーマン』第5話では、死ね死ね団員たちにタケシ抹殺を命じたミスターK(演.平田昭彦氏)が、ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)、ミッチー(演.三枝美恵子氏)と共にこの場所で待機、ヒステリックな言動をしている。

 
記念館全景。明治天皇行幸を記念する建物として1930年に建設された。修繕・管理が行き届いているためか、リペイントされた外壁は80年の歳月の経過をそれほど感じさせない。『レインボーマン』第5話では、タケシを慕う少女さくらが、外周の柱の前でレインボーマンを庇ってアーチェリーの矢を受け、絶命している。
記念館 その1
 
記念館 その2

左奥が入口。館内には建設者・田中光顕が収集した幕末・維新期の掛軸・書状などが収蔵されている。『レインボーマン』第5話では、ダッシュ5(黄金の化身)のビーム攻撃で撤退したミスターKや女性幹部たちが館内に逃げ込むその後ろ姿が確認できる。

 

公園内より町田市・相模原市方面を望む。

都立桜ヶ丘公園内 その2
 
記念館 その3

記念館外周の柱をつなぐプレート上では、特撮番組のアクションシーンが数多く撮影された。『レインボーマン』第52話では、万国旗はためくプレート上にダッシュ7が着地、悪魔武装部隊・DACの蛮行を阻止するため戦闘を繰り広げた。

 

外周の柱の高さは約4メートル。狭いプレート上で危険なアクションをされたアクター諸氏のご苦労が伝わってくる。『レインボーマン』第5話では、物陰に隠れ反撃のタイミングを図っていたタケシがダッシュ7→ダッシュ5に化身、プレート上からビームで死ね死ね団員たちを撃ち倒すシーンが撮影された。

記念館 その4
 
記念館 その5

『レインボーマン』撮影当時、記念館の地面はコンクリートのタタキだったが、1986年の改修でタイル化された。

 

年月が経つにつれて建物は老朽化し、記念館外壁と柱は度々リペイントされる。『レインボーマン』第5話では、この左の位置で、少女さくらとロコ少年姉弟が後手に縛られ、死ね死ね団に拘束された。また同第52話では、国際平和会議会場(ホテル・グレイド・ジャパン)を襲撃したDACと、それを阻止せんとする警官隊の衝突シーンが描かれている。

記念館 その6
 
記念館裏 その1

記念館裏。脹らんだ部分はギャラリーになっており、個展・展示会など多目的に利用できる展示スペースになっている。

 
記念館裏 その2
記念館裏 その3


記念館裏。昭和初期の近代建築物らしい丸みを帯びたアンティークな窓枠とガラスが美しい。『レインボーマン』第5話では、アーチェリーの矢で撃たれたタケシがアジト(記念館)裏手の林に逃げ込み、ミスターKの命令で死ね死ね団員たちがそれを追うシーンが撮影された。

公園内には桜の樹が数多く植樹されており、春には訪れる人々の目を楽しませている。傾斜の緩い位置には幾組かのベンチ・テーブルがあり、景色を楽しみながら休憩できる。現在は整備されているが、『レインボーマン』撮影当時この場所は雑木林で、負傷したタケシをチェイスする死ね死ね団員たちが撮影された。

都立桜ヶ丘公園内 その3
 
都立桜ヶ丘公園内 その4
都立桜ヶ丘公園内 その5

公園内より多摩センター方面を望む。
記念館 その7

記念館全景。1986年6月に多摩市指定有形文化財に指定され、以降、多摩市が改修・管理・運営をすることになった。『レインボーマン』第5話では、ダッシュ5の反撃に形勢不利とみたミスターK、ダイアナ、ミッチー、団員たちが踊り場から逃走するシーンが撮影されている。同第52話では、蛮行の限りを尽くすDACデビラ隊長にダッシュ7が太陽の剣でとどめを刺すシーンが撮影されている。

 
現在、記念館は多摩市教育委員会が管理している。担当者の言によれば、現在では文化財保護の観点より記念館でのアクションシーン撮影は許可していないという。『レインボーマン』第5話に映る記念館の外壁に顕著だが、1972年撮影当時、記念館外壁にはかなりの頻度で亀裂が確認でき、劣化は相当進行していたと思われる。
記念館 その8
 
○メモランダム

 
  前述のとおり、1986年に記念館が多摩市に有形文化財指定されて以降、基本的に当該館の敷地内ではドラマ撮影が許可されていない。よって、特撮ドラマに限定して見ていくと、1960年代〜1980年代前半制作作品に絞られる。映画「黄金バット」で千葉真一氏が演じる博士の研究所として使用されたのを皮切りに、『アクマイザー3』『イナズマン』『イナズマンF』『宇宙刑事ギャバン』『ザ・カゲスター』『仮面ライダー』シリーズ『人造人間キカイダー』『秘密戦隊ゴレンジャー』『猿の軍団』『すき!好き!魔女先生』『超人バロム・1』『電人ザボーガー』『超神ビビューン』『七色仮面』『流星人間ゾーン』『ロボット刑事』など、枚挙に暇がない。『すき!好き!魔女先生』では怪人クモンデスのアジトとして、また『超神ビビューン』では正義側のアジト・ダイマ超神研究所として、レギュラーで使用されている。また記念館に隣接する都立桜ヶ丘公園内の丘では、『ウルトラマンメビウス』(第18話)で、主人公・ヒビノミライの変身シーンが撮影されている。